chayarokurokuroの雑記ブログ

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ケネス・ロゴフ『現金の呪い』日経BP

『現金の呪い』副題が「紙幣をいつ廃止するか?」第一版第1刷が2017年なので少し前に出た本。
著者はハーバード大学経済学教授で専門はマクロ経済と金融経済学、2001から03年までIMFチーフエコノミスト。 ベストセラーに『国家は破綻する 金融危機の800年』
副題が「紙幣を廃止するか否か」ではなく、「いつするか」となっている。紙幣の廃止して電子的なものに変更するのは規定路線ということだろう。だが、あくまでも現金のない社会ではなく、現金の少ない社会に移行したいということだそうで。

紙幣廃止したがる理由は、

  • 地下経済を減らし税収をきちんと取りたい。
  • 不況対策が取れる。マイナス金利

など。書いてませんがベーシックインカムみたいなことをやるなら電子化されてる方がやり易いかな。完全情報を得たい野望もあるんだろう。
内容的には正直難しい。貨幣論からして宗教的な所があるし、中銀の立場や役目も元来分かりにくい。また、一般的にコラムやブログ等で誤った経済学の理解が広がっているとして たしなめるような書き方がされてある箇所がある。マクロ経済の学派の違いもあろうけど。

感想としては、スマホにしろポイントカードにしろ「なんでお前らにプライバシー覗かれなきゃならんのか、バーカ」と普段から思っているので勘弁願いたい感じではありますが。
日本人に関して言うと、お金を信用しているということは政府(の暴力性w)を信用しているということだろうけど、お金を溜め込むのは政策(老後や失業の生活補償など)を信用していないからだろう。
大企業や公務員至上でベンチャー起業や投資などやろうとしないとか、ひたすらお金を溜め込むとか、そういった諸々の行動や性向は財界や雇用、教育、メディアの在り方を含めて、一重に政治が悪い。
溜め込まれた金を税金で巻き上げて政府債務の穴埋めをしながら経済を極力縮小させず、民の暮らしを補助もするような魔法の政治などありましょうか。お金ではない所での助け合い。村社会か。