chayarokurokuroの雑記ブログ

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リチャード・フロリダ『グレート・リセット』早川書房

『クリエイティブ資本論』『クリエイティブ都市論』などベストセラーで知られるトロント大学教授の和訳版(2011年初版)を読んだ。

ワールドエコノミックフォーラムの来年1月のテーマ『グレート・リセット
「グレート・リセット」世界経済フォーラム - chayarokurokuroの読書ブログ
と同じタイトルの本があるという情報を得まして手に取りました。
本書は2008年のリーマンショックの後に書かれたもので、激しい経済的落ち込みを踏まえて、大不況が古い産業を廃して新しい経済や価値観を産むのだと、ポジティブな発想で何とか危機に向き合おうとしている感じがある。「もう、こんなのオワコンにしましょうか」という白旗上げた感じも。

グレート・リセット」「ニュー・ノーマル」と最近ちょくちょく聞かれるワードの元ネタがこの本なのかどうかは分からない。
収入以上の無茶苦茶な消費をするアメリカ人の異常な物質消費のありかたに疑問を呈したりしつつ、大不況をきっかけに経済構造などがリセットされて、新しいスタイルに変わる。今は時期に来ているのだとする。アイデアに基づいたクリエイティブな持続可能性のある経済へ。と同時に社会保証だとか個人の創造性を殺す現在の教育システムとか人材育成や就業支援なども複合的に刷新して、次の段階に移行する必要がある。

アメリカ人が無茶苦茶な消費をすることにより世界経済の生産が維持されているということがあるのでしょうが、これをやめるとなるとだいぶ状況が変わってくるね。
また成長しないから無茶苦茶な投機でギャンブル資本主義のチキンレースをやっていて10年おきにバブル崩壊を起こしている訳です。これもやらないとなると金融業も旨味というか存在する意味もなくなるんだろうかね。



いずれにしても次の時代はクリエイティブなアイデアで食って行こうという時にジャンジャン教育をズタボロにしている自民党政治では全く論外な状況なんじゃないですか。