chayarokurokuroの雑記ブログ

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関川尚功『考古学から見た 邪馬台国大和説 畿内ではありえぬ邪馬台国』梓書院

長年に渡って大和・畿内の考古学発掘調査を行ってきたプロの考古学専門家から見た、邪馬台国論争に関する話題の本です。一般向け。
内容はタイトル通り、邪馬台国大和説(畿内説)は考古学的にありえないというもの。





  • 初版 2020年9月30日発行
  • 2刷 2021年11月30日発行

  • 発行所 : ㈱梓書院

  • サイズ : 選書と同じ四六判

  • ページ数 : 200ページ



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著者は学生時代から纏向遺跡の調査に携わってこられ、2011年に退職されるまで40年間、橿原考古学研究所で大和の遺跡や古墳を調査されてきた日本古代史考古学のプロフェッショナルです。

その大和の古代史考古学のプロから見て、纏向・大和、畿内における弥生時代古墳時代初期の遺跡の状況や出土品から邪馬台国大和説(畿内説)は成り立たないことを述べられている。邪馬台国ならば出なければならない出土品が一向に出ない。
同じく2020年2月に出た、考古学者の坂靖『ヤマト王権の古代学』新泉社に続くものとして、「結論ありきのトンデモなんでも畿内説」にウンザリした古代史歴史学ファンには好意的に捉えられているように思います。



畿内説で焦点の纏向遺跡(マキムク)の発掘調査は1971年に始まり、現在まで50年も続けられています。
50年も調査やっていれば、そして畿内説の喧伝のされ方からして纏向や畿内説にさぞや有利な出土品が貯まっていると思いきや、全然そうではなく、

弥生時代の大和には、

  • 首長クラスの大型墳丘墓が皆無(方形周溝墓はある)
  • 副葬品が皆無
  • 漢鏡が皆無
  • 鉄製品がほぼ無し
  • 外来の土器の半分は伊勢湾周辺のもので、西限は岡山県のもの。
  • 九州や朝鮮・大陸系土器がない
  • 纏向は銅鐸・青銅器生産の中心でもない

などなど。纏向よりは唐古鍵か、大阪の方がまだマシかなと。何れにせよ邪馬台国が持つべき外交交易も首長も技術は奈良も大阪にもない。

その為畿内説派は、庄内式土器や布留式土器など新しめの土器を古く見せたり、炭素14年代測定法で時代を遡らせたり、三角縁神獣鏡を魏の鏡だとゴリ押ししたり巨大古墳を卑弥呼のものだと主張したり一生懸命小細工され、学界まるごと葬る箸墓ばりの墓穴を掘っておられる現状に対し、著者は危惧しておられます。


私見だが、6世紀の『梁書』には、倭国から北東に7000里の所に文身国があると書いてあります。文身国の王は水銀を溜め込んでいる。これは畿内を指ている。王の水銀は、大和水銀鉱山の賜物だろう。
関西の巨大古墳は、水銀鉱山のゴールドラッシュで成り上がった豪族、文身国の王らの墓だ。

畿内の古墳建造の基盤には、吉備の土器生産や楯築墳丘墓の建造技術、徳島の萩原墳墓群の建造技術や若杉山の鉱山開発技術、九州の文化や技術などの流入が必要。卑弥呼時代には無理だね。