chayarokurokuroの雑記ブログ

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【手芸】革の染め直しと帆布ポーチのミシン縫い

2年くらい前に作った革の財布を染め直した。それと古いミシンを動かせるように直したので練習がてらポーチを作ってみた。



姫路産ドラムフルタン鞣しの牛ヌメ革を、SEIWAのローパスバチックで染めたもの。長財布に使い慣れていたせいもあり、容量が少な目かつ使いにくく感じ、作って殆ど使っていなかったので綺麗なまま。菱目打ちでの穴開けが下手くそ。



SEIWAのスピランで染め直した。茶と焦げ茶と赤を使用。ついでに手揉みして細かいシボをつけた。

手順としては、色止めにクラフト社のレザーコートを塗っているので、まず染色用の強いアルコールと除光液でそれを溶かして剥がした。レザーコートはアクリル樹脂で出来ている。アルコールで溶ける。ベタベタになるのを根気よく拭き取っていく。革専用のクリーナーを使った方が無難。
コーティング剤を綺麗に取った後、スピランで染め直した。いまいち染料が入っていかなかった。
「染料」を使う場合、前の色より明るく染めることは出来ない。より暗く濃い色にしか出来ない。明るい色にしたければ「顔料」を使うしかない。



下に敷いているベージュ色の革は姫路産クロム鞣しの型押しの牛革。シボの大きさは一般的なもの。原厚が2ミリ前後の天然シボかシュリンクレザーと同じくらいかな。
染め直した財布の方はそれより細かいシボ。お上品。革の厚さは1.5ミリ。厚みでシボのサイズが変わる。


ちなみに、これはベリー(腹の部位)を使って練習用で作ったバッグを解体して染め直し、シボをつけたもの。
ベリーは繊維密度が緩いので写真のように大きなシボになる。細かいシボをつけようとしても出来ない。

革の厚みは同一だけど、部位が違うだけでシボの付き形が全然違うようになってしまう。
ベリーをバッグや財布の表面に使う事はあまりない。と思う。使うなら裏地とか見えない所かな。



かなり古い電動ミシンを使えるようにしたので、練習としてポーチを作ってみた。

手芸用品店で買った激安の綿製の生地。帆布っぽい。厚さが薄めなのでアイロンでくっつける接着芯を貼り、内装には黒のポリエステル生地。これも手芸用品店で購入。

材料費に関して、布地は革より遥かに安い。レザークラフトに毒されると、ほとんどタダみたいな感覚になる。
材料費が掛かっていないので製品として販売した場合それなりに安く出来るかと問われれば、難しいと答える。作る手間が意外に大変。ミシンで真っ直ぐ縫うのもカーブを縫うのも難しいし、素材がふにゃふにゃなので扱い難い。



ベルトにぶら下げられるようにした。





ファスナーの部分の生地が、押さえでシワがついてしまった。気を抜くと生地がグシャグシャになり、やり直しってなことに…。



縫い目が酷いのが分かるだろう、難しいのよ。切り目を覆い隠すバイアステープはYouTubeを見て自作した。縫いにくいので先にボンドで貼ってから縫った。普通はそんなことしないんだろうけど。







第一号にしてはそこそこの出来映えではなかろうか。なんやかんやで製作に1日以上掛かっている。



感想

革の染め直し・塗装し直しについて、革製品がどういう鞣し方の革か、染料染めなのか顔料塗装なのか、コーティング剤に何が塗られているか、再染料・塗装後の希望の色は何かetc。これらの様々な条件とその見極めを素人が行い、自分で染め直しや塗装をやるのは結構ハードルが高いと思う。
ダメ元で…。



薄手の布地に限られるが、ミシンが使えるようになったことで製作に幅が出せる。現在は帽子を作成中。グフフ……
バイクに乗るとき用のウエストバッグが欲しいと前々から思っていた。たすき掛けのスリングバッグ・ボディバッグは長距離では疲れる。肩や首周りの血流を悪化させると肩がこり、頭痛がし出すんで。だからウエストバッグがいいなと。革製だと高くつくから、布地だと自作が気軽。そのうち作ります。グヒヒ

レザークラフトでバッグの内装を作る際、今までは菱目打ちを使って革と同じ方法で縫ってやってきたのでw。これからはサクサクっとミシンで出来る。捗る。革用のミシンがあればバッグ作り散らかすんだけどなぁ。



革素材の価格には結構幅がありますが、高級革としての基準となるのは、10センチ×10センチ(=1デシ、1DS)が100円を超えるかどうかだと言われています。
1デシが100円の革なら1メートル角で1万円する。手芸用品店で布地の切り売りを1メートル買うとだいたい1000円前後です。同じ面積で布地は革の10分の1ほどの材料費しか掛からないということです。

革は材料費が高い上に耐久性も高く、牛革製品なら20~30年くらいもちます。次々に新型のデザインを出し、古い物はすぐさま時代遅れにされ、ダサさのレッテルを貼られて買い替えを促されるファッション業界の大量消費型経済とは相性が合いません。耐久性が高く価格も高い革製品が即座に「型落ち」し「時代遅れ」にされ、少し前に買ったものが直ぐに「ダサい」と言われるような状況なら革製品は普及しないだろう。身が持たない。

つまりですね、革製品は流行にあまり左右されないしダサいとも言われない、コスパが非常によいエコな分野なのですね。

今回作った帆布のポーチに値段をつけるとしたら幾らぐらいになるだろうか。2000円くらいかなと。まぁ100均でも売ってそうではあるが…。
実は以前に栃木レザーで作ったポーチと同じ型紙を使って作りました。じゃあ革のポーチは幾らが妥当か。材料費が布地の10倍以上することを考えると2万円以上か?客としての立場からしたら高いと思うだろう。作った側の立場としても2万円を超える値段をつけるのには抵抗がある。

革製品は材料代が掛かっている割には高価格をつけにくく、従って製造のコストを圧縮するような圧力が掛かっているということか。生産の労働が報われ難い。
逆に客の立場で言えば、革製品の方がお買い得。
コスパ厨は革製品を買いましょう。ダサさ知らずで時代遅れ知らずです。

ファッション性や流行性を漂わせる革製品やブランドがあるとしたら、それは革業界からしたら偽物。本質から外れた偽りの記号を身に纏うハッタリ品に違いありません。知らんけど。

革は良いね! ということで。