神社や古墳のブログ投稿をサボっていて画像が溜まりまくっているが、またレザークラフト。画像多めスマソ。
馬蹄型(ばていがた)コインケース
を作りました。レザークラフトの小物の中では難易度が高く、試金石として作られるもののようです。腕試しの初挑戦。
手のひらサイズのただのコインケースですが、ミシン縫いが出来ない上に綺麗に作るには色んな技術が必要で、名のあるブランドの物は2万円を超えるような価格で売られていたりします。ブランド品でなくとも結構高い値段がついている。
初挑戦ということで、とりあえず手頃にYouTubeを見て作り方の要点を押さえ、型紙も動画の概要欄から拝借しました。
HORANE Leatherさんのチャンネルには度々お世話になっております。誠にありがとうございます!
最近上の動画の新バージョンがアップされています。↓
革はブッテーロでしょうか、高級感があります。作りが毎度丁寧でめっちゃ綺麗。
私はこれがアップされる前に作りましたのでよく見ておりませんが、新バージョンの方は型紙に目打ちの縫い穴のマークが追加されているようです。だいぶ作りやすいかと。
使用した材料
- 革 : 1.0ミリ厚の姫路産ドラム鞣しフルタンニン牛革素仕上げ
- 染色材料 :
- SEIWA社「スピラン」(アルコール染料)
- 今津薬品工業社「95%IPA変性アルコール」(染料のうすめ液用)
- クラフト社「レザーバインダー」「レザーコート マットつやけし」(色止め、防染、防水用)
- フィービング社「100%ピュア・ニーツフット・オイル」(ヒビ割れ防止、潤滑用)
- SEIWA社「スピラン」(アルコール染料)
- 接着剤
- 発売元 三浦株式会社「DBボンド」(超強力ゴム系接着剤)
- 発売元 三浦株式会社「DBボンド」(超強力ゴム系接着剤)
- 縫い糸
- 永井撚糸社「ビニモMBT 8番手 ベージュ色108番」(縫い糸)
- フジックス社「職人for leather
#8
焦げ茶 95番」(縫い糸) - ベビーロック社(製造はフジックス社)「極
#8
ピンク176番」(縫い糸)
- 永井撚糸社「ビニモMBT 8番手 ベージュ色108番」(縫い糸)
- 工具
- メーカー不明の菱目打ち4ミリピッチ、4本目と2本目
- 協進エル社「プロ菱ギリ(細)」(刃先をペチャンコに自主加工済み)
- クラフト社「手縫針 丸針 極細 5本入」(手縫い針)
- メーカー不明の菱目打ち4ミリピッチ、4本目と2本目
- コバ処理剤
- クラフト社「CMC」
- クラフト社「レザーコート ハイグロス」(コバ処理用。余ってたので)
- その他、工具類
- SEIWA社「マルチステッチンググルーバー」、協進エル社「プロへり落とし」オルファ社「カッター」「鋭角研磨 特選黒刃(替刃)」
完成品画像と作成上の注意点
革は、1.0ミリ厚のヌメ革半裁のベリーやネック部位をスピランで染色して使いました。ベリーやネックはあまり使えない部位なので練習用ということで。
スピラン(やアルコール染料)で染める際の注意点として、水性染料と比較して革の水分や油分が激しく失われ、乾燥すると革が強く縮み硬化します。
革が乾燥するとたんぱく質繊維が癒着し、曲げた際にヒビ割れする。
従って、染色後は乾燥させる前にオイルを多めに塗った方が良い。オイルが足りないと曲がる部分が高確率で割れます。
参考として レザーワークスittenさんのチャンネル
動画の後半、オイルが少ないと割れるサンプルが出ている。染色前にもオイルを塗る方が良いとも言われている。
Lized社の中の人のブログ、アメリカやフランスの革職人のYouTube動画でも同じ事を言ってあったので、私は真似して染色の前後にオイルを塗っています。
水性染料を使う場合はそこまで入念にしません。(というか先にオイルを塗ると水性染料が入らない。)
表の面になる革の裏貼りは、真ん中で曲がるので、シワにならないように曲げながら貼る。
- とりあえず最初の失敗作
この革だけ鉄染め。
マチのステッチがガタガタ。
マチを貼りつける前に本来は菱目打ちで印をつけたり軽く穴を開けたりをすべき所をしなかった為。いきなり菱ギリでやると、こうなる。
マチを貼るとき接着剤は強力なものを使わないと、駒合わせ縫いの菱ギリを入れる時や縫い針を通す時に外れてしまいます。
DBボンド
は靴職人が使う完全接着の超強力なタイプです。ですが注意点として、チューブから出したものをそのまま革に着けたので、はみ出したり厚塗りになったり見苦しくなった。
接着剤は一旦プラスチック板などにひねり出し、接着剤うすめ液で水っぽくして、はみ出さないように丸ギリなどで塗るべきだった。
ということで、次の作品からはそうしている。薄めたので「こんな少量で着くのか?」と思ったが、意外とイケる。
- 次の作品
ステッチがだいぶん綺麗になった。接着剤もあまりはみ出したりしていない。
マチは型紙通りに切って形状を成形するのが難しいと思ったので、現物合わせでやった。メジャーや物差しで図りつつ、筒に巻きながら曲げ貼りしつつ、菱目打ちで穴を開けつつ。
穴の個数も現物で合わせながらやるので激ムズ。
- 第3作目
設計し寸法を変えた。
左の青いのが新作、ホタテ貝形前方後円墳みたいな。
設計の際は、所々革の厚みで寸法を固定・指定する必要がある。隙間が空いたり干渉して上手く閉じなくなったりする。ピッチもズレてくる。
革製品はどれもそうだが、革の厚さも型紙で指示しないと(されないと)、初心者は経験でカバー出来ない分、たびたび変なものができてしまう。
- 第4作目
今度は上のホタテ貝形の寸法をイジった。
革の左側の面が、右側より茶色くなっている。テーブルに数ヶ月放置していたので経年変化して…
スピランの緑色に茶色を混ぜるとオリーブ色になる。
ついでに、緑色に焦げ茶を混ぜると深緑になる。
- 第5、6、7作目
同じ形状の作品は、だいたい5個くらい作ると慣れてきて、売っても大丈夫なレベルの綺麗な作品になるかな、と。
逆に言えば、試作を何度も重ね、微調整を繰り返さないとイマイチな製品にしかならない、かなぁと。
- 第8作目
すでに7個も作ってしまった。飽きてきたが、7作目のコインケースの入り口の両サイドのマチが、フタのマチに干渉してキレイに閉まらないので、8作目を最後に改良して終わりにする。
左側が7作目、右側が8作目。
マチが干渉するので、コインケースの天井の革の入り口部分を両端1ミリずつ削ってスボメた。U字形から壺形に。
左(7作目)のマチの右側の下の部分に隙間が出来ているのが見える。外マチがコインケース部分に干渉してうまく閉まらず開いた状態。
フタを無理やり閉じているので、画像では見えないが、コイン収納部分の天井の革が外マチによって両端から圧迫されて凹んでいる。8作目はそこを改善。
おわりに
設計、革の加工、組み立て、全部ミリ単位の精確さが要求される。かなり難しい。だが、たぶん、馬蹄型コインケースを売るのが一番難しい(笑)。
以上。