2019年9月27日第一刷
2008年のパリバ・リーマンショック直後からはじまるバブル崩壊分析が一息ついた頃辺りから、文明崩壊論みたいなものも含めた資本主義の行き詰まりに関する書籍や論調が増えて来たように思います。極端な富の格差と貧困問題、ベーシックインカムやCO2排出権取引などでのポスト資本主義の模索、AIによる雇用破壊、巨大IT企業のデータ独占による国家との摩擦や民主主義の崩壊懸念など、思想家・哲学者・政治経済学者らの注目する問題は我々の身近な所でも議論されています。
本書は編者の大野氏が世界的に著名な欧米の学者やジャーナリストなどに行ったインタビュー集。
個人的に『ブルシット・ジョブ』の著書デヴィッド・グレーバーと、チェコの経済学者トーマス・セドラチェクは興味がひかれた。
ネタバレになるとあれだろうから対談者の経歴だけ書いておきます。
- 大野和基(かずとも) : 1955年兵庫県生まれ。ジャーナリスト。本書の編者、インタビュアー。
大阪府北野高校、東京外国語大学英米学科、コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。国際情勢の裏側や医療問題から経済まで幅広い分野の取材・執筆を行っている。アメリカ最新事情に精通。著書に『未来を読む』『お金の流れで読む日本と世界の未来』『英語の品格』ほか。
- ポール・クルーグマン : ニューヨーク市立大学大学院センター教授。2008年ノーベル経済学賞受賞。
研究分野は国際貿易論。収穫逓増と不完全競争に焦点を置いた「新しい貿易理論」の創始者の1人。ツイッタラー。
- トーマス・フリードマン : 1953年生まれ。ジャーナリスト・コラムニスト。
ブランダイス大学卒業後、オックスフォード大学大学院で現代中東研究の修士号。UPI通信、ニューヨークタイムズ紙の中東特派員とベイルート支局長、エルサレム支局長。国務省及び外交問題担当、クリントン政権でホワイトハウス担当主席記者。95年から「ニューヨークタイムズ紙」外交コラムニスト。ピューリッツァー賞を3度受賞。著書に『レクサスとオリーブの木』『フラット化する世界』など。
- デヴィッド・グレーバー : 1961年生まれ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス文化人類学教授。アナーキスト活動家。
ウォール街占拠運動の理論的指導者として一躍有名になった。著書に『アナーキスト人類学のための断章』『負債論』『官僚制のユートピア』『ブルシット・ジョブ』など。
プラハ・カレル大学在学中の24歳のときに、初代大統領ヴァーツラフ・ハヴェルの経済アドバイザーになる。2006年にはイェール大学「イェール・エコノミック・レビュー」で注目の経済学者5人に選出。著書に『善と悪の経済学』
- タイラー・コーエン : 1962年生まれ。米国ジョージ・メイソン大学経済学部教授。
英国「エコノミスト」誌が実施したアンケートにおいて過去10年で最も影響力のある経済学者の1人、また「フォーリン・ポリシー」誌が選ぶ「世界の思想家トップ100人」に選出。著書に『大停滞』『大格差』『大分断』
- ルトガー・ブレグマン : 1988年生まれ。歴史家・ジャーナリスト。
ユトレヒト大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で歴史学専攻。著書に『進歩の歴史』『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』ほか。
- ビクター・マイヤー=ショーンベルガー : 1966年生まれ。オックスフォード大学教授。
ネットワーク化された経済における情報の役割が研究テーマ。ビッグデータ研究の第一人者で「忘れられる権利」の提唱者。著書に『ビッグデータの正体』『データ資本主義』